前回の「Beatrice 07」特集1 パフォーマンス(期待値)編で書いたように、当ストラテジーは損小利大トレードで、過去の相場において素晴らしい成績を残しているが、最大4ポジション保有するストラテジーということもあり、利益(リターン)ばかりに注目し、リスク管理を怠ると、想定外の大損失を被る可能性もある十分考えられるストラテジーである
『リスクコントロールは投資の生命線であり、リスクを把握しないことには、長期に持続可能な運用は不可能』
ということで、今回は「Beatrice 07」の内在リスク(確率的に発生し得る最大ドローダウン)について取り上げてみたい
内在リスクについてしっかり把握してもらい、過剰なリスクテイクによる想定外の大損失回避に一役買えることを願って・・・
目次
Beatrice 07 [EUR/USD] の実現最大ドローダウン
シストレ24 [2015.3月以降]-2,435Pips
2015.8/22〜10/22の2ヶ月間で-2,400Pips強のドローダウン発生
MT4 EA [2010.1月以降]-3,542Pips
↑Beatrice 07 EAについてのページに掲載されている2010年以降のバックテストデータ
過去6年弱の期間におけるバックテスト結果では、最大ドローダウン-3,500Pips強となっている(リアル運用ではほぼ間違いなくこれよりも大きい)
統計・確率論から導き出す 最大予測ドローダウン
Beatrice 07のシステム勝率は先のシストレ24のストラテジーデータ、EAバックテスト結果から約50%であることがわかる
勝率50%ということは、2回に1回は負けということだが、あくまで平均であり負けが続くことも当然ある。しかし統計学を用いることで、この連続負け回数(予測値)の算出が可能だ
危険率1%の最大連続負け回数
勝率50%のシステムにおける危険率1%の連続負け回数は次の式で計算できる
= CEILING(LOG(0.01,1-0.5),1) → 計算結果は「7」
この結果より、勝率50%では1%の確率で7連敗が発生するということがわかる
[注意点]最大ポジション数を1セットと考える
当ストラテジーは最大4ポジション保有する為、これを1セットと考えなくてはいけないわけで、ポジション単位で言うなら危険率1%で28連敗(7×4倍)が最大連続負け数ということになる
Beatrice 07は-130Pipsのストップロスが設けられているストラテジーであるため
最大連続負け数からの予測最大ドローダウンは -130 × 28 = -3,640Pips となる
実際、上述の過去約6年間のバックテスト結果における 最大ドローダウンは -3,500Pips強と同レベルなのが分かると思う
内在リスクの予測はできれば危険率0.1%で
ほとんどのミラートレーダー運用者はストラテジー1つではなく、いくつかを組み合わせたポートフォリオで運用を行っていると思う。
しかし、仮にBeatrice 07だけ、もしくは相関性の高い他ストラテジーとの組み合わせで運用を行う場合には、危険率1%計算での最大予測ドローダウンでは必要不十分で、0.1%で見るのがベターだろう
危険率0.1%での予測最大ドローダウン
まずは危険率0.1%の最大連敗回数を計算(システム勝率は50%のまま)
計算式 = CEILING(LOG(0.001,1-0.5),1) → 計算結果は「10」
よって、危険率0.1%での予測最大ドローダウンは -130 × 10 × 4 = -5,200Pips となる
この最大連続負け数から内在リスクを予測するという手順は「FX初心者だからこそミラートレーダーで失敗(大損)しやすい理由と閲覧推奨サイト」でも紹介している、山本氏の著書 使える売買システム判別法 (現代の錬金術師シリーズ)から習得したもので、シストレ運用者はリスク管理スキルとして必ず習得しておくべきだろう
まとめ
個人的な過去の経験からも、明確な判断要素抜きに(要はフィーリングで)ストラテジーの停止やLot数の増減を行うと逆効果(収益悪化)となる可能性は高いように思う。
もしそんなことをするくらいなら、1度ストラテジーを選んだ後は収益結果に関係なく、少なくとも半年〜1年程度は辛抱強く見守った方が、最終的には良い結果に繋がる可能性は高い
仮にそういう腰を据えたミラートレーダー運用を行うつもりなら最低でも -4,000Pips程度のドローダウンは想定しておく必要がある。
この場合、1万通貨単位で運用するなら、48万円の損失は覚悟すべきという計算($1=120円の場合)
ちなみに、私は累積収益+テクニカル分析をストラテジーの停止・再開の判断材料として独自に採用している為、ここまで大きなドローダウンに発展するまで辛抱することはない(その代わり日々収益状況の確認を行っている)
参考記事→【好調不調の判断】シストレ 自動売買の収益曲線にテクニカル分析を適用
さて、今回の記事を読まれた方は2015年最優秀ストラテジーといえど、Beatrice 07はそれなりにリスクの高いストラテジーであることが分かっていただけたと思う。
年間で収益率100% オーバーなど非現実的な数値であり、基本的にそういったパフォーマンスは単にマグレである可能性大だと捉えるべきだ
リスク・コントロールを第一に考え、長期目線で余裕を持って取り組むことがとても大事だと思う