【本音レビュー】デューカスコピー・ジャパンのECNプラットフォーム JForexは使える?
国内には数多くのFX業者が存在するが、ほとんどがDD(Dealing Desk)方式であり、NDD(No Dealing Desk)方式のFX業者は実際かなり限られている
そしてNDDの中でも最も透明性の高いECN方式を採用しているのが、アルパリ・ジャパンを買収したスイスのネット銀行 Dukascopy Bank SAの子会社「デューカスコピー・ジャパン」だ
2015年のサービス開始時はJForexだけだったが、2019年4月以降はMT4も利用可能になっている
今回は個人的に考えるデューカスコピー・ジャパン JForexのメリット&デメリット、プラットフォームの使い勝手などについて紹介
デューカスコピー・ジャパンを利用するメリット
国内FX業者のほとんど(ほぼ100%)が取引手数料無料でサービスを提供しているが、そんな中デューカスコピー・ジャパンは取引手数料制で、 取引毎に取引数量に応じた手数料が発生する
特にFX初心者の多くは「取引手数料制のFX口座でトレードするメリットなんてある??」と思いがちだと思うが、もちろんメリットは存在する
ノーディーリングデスク ECN方式による透明性&約定力
JForexは取引手数料制ながら、ディーリングデスクを一切介さないECNタイプのNDD口座であり、インターバンクプライスがそのまま反映&注文時に即時約定される
透明性の高いマーケット。だからスプレッド変動型。
- スイスの伝統と格式。セキュリティ重視のスイスで登録された銀行が提供するECN。
- カバー先銀行や他のECNと共にお客様も同等マーケットプレイスの一員として、ご参加いただけます。
- 人為がないオートメーション化で、すべてのお客様が同一の価格、流動性で取引可能。
- マーケットプレイスの板情報はデフォルトで公開。だから注文状況も一目瞭然。
- 外付け取引手数料を採用。取引コストも分かりやすくなりました。
- スキャルピング取引可能。
ECNとは
- トレーダーが相互間で取引できるマーケットプレイスの存在
- お客様の売り買い注文をも含んだマーケットデプス(詳細な板情報)の表示
- 変動スプレッド
- ディーラーを介さないNDD(no dealing desk)方式による素早い約定
- マーケットプレイスに出された売り買い注文のマッチング
- 全てのお客様への同一の価格フィードの提示
ソリューション
SWFX(スイスFXマーケットプレイス)は、ユニークな集中・分散型構造のマーケットプレイス(centralized-decentralized marketplace model)による取引テクノロジー・ソリューションです。機関投資家向けの高い流動性が確保されている点と、注文の即時約定がSWFXの特徴です。~ 以下省略
人為的リスク(ストップ狩りや約定拒否など)の回避
国内業者の多くはディーリングデスク(DD)方式で、インターバンク価格では実現不可能レベルの激狭スプレッドを(※原則固定)というかたちで提供しているが、指標発表時や深夜〜早朝の時間帯などスプレッドが大幅に拡大し、信じられないレベルのスリッページ(注文レートよりもかなり不利なレートで約定)が発生するケースも少なくはない(※業者によって大きく差がある)
一般的なDD業者では意図的にスプレッドを拡大させ、ストップロス・ハンティング(俗に言うストップ狩り) を行ったり、ディーラー側に都合の悪い注文に対しては約定拒否、顧客の注文を市場に流すさずに呑むなんてこともことも理論上可能となっている
つまりDD業者での取引は、市場ではなくディーラー(FX業者)と取引を行っていることに等しく、『利益相反』つまり顧客が損をした分だけFX会社が儲かる仕組みなのが現実
一方でNDD業者は、ディーラーを介さない取引であるため利益相反ではなく、顧客のトレード量に応じて発生する手数料で儲ける仕組みとなっている(顧客の勝ち負けは会社の収益には関係なし)
よって、透明性の高いECN口座であるデューカスコピー・ジャパンでトレードする1番のメリットは「レート操作によるストップ狩りや、約定拒否などといった人為的なリスクから逃れることができる」点かと思う
取引可能 通貨ペアについて
Jforex 取扱通貨ペア
取扱通貨 | 豪ドル(AUD)、加ドル(CAD)、スイスフラン(CHF)、オフショア人民元(CNH)、ユーロ(EUR)、デンマーク・クローネ(DKK)、英ポンド(GBP)、香港ドル(HKD)、日本円(JPY)、メキシコ・ペソ(MXN)、ノルウェー・クローネ(NOK)、ニュージーランド・ドル(NZD)、スウェーデン・クローナ(SEK)、シンガポール・ドル(SGD)、トルコリラ(TRY)、米ドル(USD), 南アフリカランド(ZAR) |
---|---|
対円通貨ペア | AUD/JPY、CAD/JPY、CHF/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、HKD/JPY、NZD/JPY、SGD/JPY、TRY/JPY、USD/JPY、ZAR/JPY |
その他の通貨ペア | AUD/CAD、AUD/CHF、AUD/NZD、AUD/SGD、AUD/USD、CAD/CHF、CAD/HKD、CHF/SGD、EUR/AUD、EUR/CAD、EUR/CHF、EUR/DKK、EUR/GBP、EUR/HKD、EUR/NOK、EUR/NZD、EUR/SEK、EUR/SGD、EUR/USD、GBP/AUD、GBP/CAD、GBP/CHF、GBP/NZD、GBP/USD、NZD/CAD、NZD/CHF、NZD/USD、USD/CAD、USD/CHF、USD/CNH、USD/DKK、USD/HKD、USD/MXN、USD/NOK、USD/SEK、USD/SGD、USD/ZAR |
計48種類の通貨ペアの取引が可能
ちなみに、MT4口座ではJforexより少なめで、計38種類の通貨ペアとなっているもよう
外付けの取引手数料について
デューカスコピー・ジャパンの外付け取引手数料は Jforex, MT4口座で少し異なるが、どちらも預り金総額、純資産額、取引金額に応じて段階的に安くなるディスカウント方式となっている
取引金額100万円当たりの取引手数料(片道)
取引手数料(片道) | (1) 預り金総額 | (2) 純資産額 | (3) 取引金額 |
---|---|---|---|
25円 | 50万円未満 | 50万円未満 | 5億円未満 |
24円 | 50万円以上 | 50万円以上 | 5億円以上 |
23円 | 100万円以上 | 100万円以上 | 10億円以上 |
22円 | 250万円以上 | 250万円以上 | 25億円以上 |
18円 | 500万円以上 | 500万円以上 | 50億円以上 |
16円 | 2,500万円以上 | 2,500万円以上 | 250億円以上 |
15円 | 5,000万円以上 | 5,000万円以上 | 500億円以上 |
14円 | 1億円以上 | 1億円以上 | 1,000億円以上 |
12円 | 5億円以上 | 5億円以上 | 2,000億円以上 |
10円 | 10億円以上 | 10億円以上 | 4,000億円以上 |
このように、Jforexの取引手数料は取引金額100万円当たり最大25円〜となっている
スキャルピングやデイトレードなどの短期売買がメインのトレーダーであれば、手数料が18円に大きくディスカウントされる預入金 500万円以上を用意するのが好ましいと思う
取引手数料の計算方法
取引手数料の計算手順
- 取引通貨ペア ✕ 取引数量 を円換算した金額を算出
- 円換算した金額 / 100万円 ✕ 基準手数料 => 取引手数料(片道)
例1 ドル円 トレード時の取引手数料
- 100万円の取引あたりの手数料 片道25円
- USDJPYレート
115.0
で1万通貨を新規約定 - USDJPYレート
123.0
で1万通貨を決済約定
以上の条件で取引した際に新規、決済時に発生する取引手数料の合計を計算したい場合
- 新規約定時の取引手数料 =
115 * 10000 / 1000000 * 25
= 28.75(四捨五入により、29円) - 決済約定時の取引手数料 =
123 * 10000 / 1000000 * 25
= 30.75(四捨五入により、31円)
新規&決済の往復取引手数料 = 計60円 という計算
例2 ユーロドル トレード時の取引手数料
- 100万円の取引あたりの手数料 片道25円
- EURUSDレート
1.1000
で1万通貨を新規約定(約定時 USDJPYレート = 115.0) - EURUSDレート
1.1550
で1万通貨を決済約定(約定時 USDJPYレート = 111.0)
以上の条件で取引した際に新規、決済時に発生する取引手数料の合計を計算したい場合
- 新規約定時の取引手数料 =
1.1000 * 10000 * 115.0 / 1000000 * 25
= 31.625(四捨五入により、32円) - 決済約定時の取引手数料 =
1.1550 * 10000 * 111.0 / 1000000 * 25
= 32.051(四捨五入により、32円)
新規&決済の往復取引手数料 = 計64円 という計算
Jforexトレードプラットフォームの使い勝手は?
当記事の初回公開時には 取引プラットフォームの使い勝手はMT4やcTraderと比べるとイマイチという印象を受けた
と記載していたが、 JForexのver.3.0以降ではMT4よりもJForexの方がチャートツールとしてもかなり使いやすいと感じている (株,商品etcも表示できる tradingview と比較すると、さすがに劣るが・・・。)
Jforex ver. 3 から追加された新機能
- 新規注文パネルにスプレッド表示
- マルチタイムフレームをインディケーターに追加
- インディケーターをナビゲーターからドラッグ&ドロップでチャート表示
- JForex全体を拡大表示するズーム機能
- ポップアップによる注文通知機能
- 35種類のインディケーター追加
- 取引単位表示にロット(10万通貨単位)を追加
- 通貨ペアの検索機能
ver.3以前はJavaが別途で必要なダウンロード版しか提供されておらず、私がメインで利用しているMac上で利用するには問題があったが、ver.3 以降はJavaのダウンロード不要(アプリに組み込み済)のインストール版が提供されており、Mac上でも快適に利用できるようになった
さらに、ヒストリカルデータの取得やプライスアラート等の機能は利用できないものの、より手軽に使用可能なウェブブラウザ版 JForex Web 3も追加されている
チャート設定で「注文のビジュアル化」を有効にすることで、MT4やcTraderと同じように決済済みポジションのエントリー&手仕舞いポイントをチャート上に表示することも可能だ
あとはMT4のようにトレード解析ツール Myfxbookとの連携ができるようになってくれると嬉しいが、これはあまり期待できないかも。
スプレッドの拡大が少し気になる
以前(2016年)だとUSDJPYのスプレッドは中央値で、たしか0.2 ~ 0.3
程度だったと記憶しているが、2022年7月の実績値では中央値 0.9 と以前よりも大きく拡大している
おそらく以前(2016年)と比較すると、戦争や世界的なインフレ&景気後退リスクなどで流動性がかなり低下してしまっているのが理由だと思うが、このスプレッド拡大については少し気になった
総括・まとめ
JForexでは売買ストラテジーを自作し自動売買を行うことも可能なようだが、MT4に比べるとユーザー数が圧倒的に少なく情報量も乏しい為、JAVA言語のプログラミング知識がある方でなければ自作のハードルはかなり高い (C#言語のcTraderの方がまだハードルは低そう)
資金量に応じたディスカウント式の取引手数料制ということでサービス開始当初は「それなりに資金力のあるトレーダー向けのFX口座」という印象だったが、手数料値下げにより 資金力の乏しいトレーダーであっても(売買頻度にもよるが)それほど気にする必要はないレベルに落ち着いたように思う
また、JForexでは精度の高いヒストリカルデータのダウンロードが可能だったり、チャート機能もかなり優れていることから、トレードツールとしてだけでも利用する価値は十分ある
デモ口座の開設も可能なので、気になった方は一度試してみると良いでしょう